会社設立の取り決めを記した定款など、必要書類の作成から、それを認証されるまでのプロセス、方法を解説しています。
株式会社の設立には、組織や運営方針についての取り決めを記した「定款」が必要です。定款に記す事項は3種類あります。
定款に必ず盛り込まなければいけない事項で、「(会社の)目的」「商号」「本店所在地」「設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」「発起人の指名または名称及び住所」の5項目と、「発行可能株式総数」「株式譲渡制限の定め」の2項目も実際には必要になります。この項目が一つでも欠けていると定款は無効になってしまいます。
会社法で定められた基本ルールと異なる項目です。新会社法では、それぞれの会社が自由な運営方法を決められるよう、規制がゆるやかになっています。定款への記載を前提に、各会社ならではの方針を決定することができるわけです。
上記2項目以外の項目で会社法の規定に反しない項目をいいます。一般的には、株主名簿の基準日や事業年度などが任意記載となります。
一度定めた定款を変更するのは手間がかかります。設立時に作成する定款は、絶対的記載事項と、株式の譲渡制限以外の項目はシンプルにまとめておき、会社の成長とともに必要な項目を順次追加していくと無駄がありません。
作成された定款は、そのままではただの覚書でしかありません。公証人に提出し、一定の行為が正当な手続きにより行われたことを公の機関が証明する「認証」を受けてはじめて、法にかなった文書として効力を得ます。
認証のために準備するものは、定款のほか4万円の収入印紙と認証費用5万円、謄本作成料2千円、発起人の実印と印鑑証明書が必要です。
定款に記載モレがあったり間違った内容が記されたまま認証を受けてしまった場合、あとで気付いても費用は戻ってきません。
定款の作成時、あるいは提出前に専門家に相談し、チェックを受けて問題がないか確かめてもらいましょう。
紙ベースで行われる定款認証を電子文書化して指定公証役場へ持参すると、電子文書は非課税のため、収入印紙代をかけずに認証が行えます。
ただし、電子認証には専用のPCソフトやプラグインが必要で、一式揃えると浮いた収入印紙代よりも高くついてしまいます。そのため、通常は税理士や司法書士などの専門家に手続きをお願いすることになります。